事業拡大を続けるベンチャー企業では、業務量や担当者が急速に増える一方で、教育体制や業務ルールの整備が成長に追いつかないことがあります。
今回コクーの支援担当者が携わった広告運用の現場でも、入稿設計やデータ分析の方法が担当者ごとの経験に委ねられ、作業品質や対応スピードにばらつきが生じやすい状態になっていました。
担当者は、広告の入稿管理、データ分析、運用最適化を担いながら、目の前の作業を滞りなく進めるだけでなく、業務手順の言語化やマニュアル整備にも着手。さらに、Excelで行われていた転記・集計作業をVBAで自動化し、AIを活用した分析の効率化にも取り組みました。
本記事では、業務を習得しながら「誰が担当しても正確かつ迅速に進められる仕組み」をつくるために、どのような視点で現場を捉え、改善を積み重ねたのかを紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 広告業界 |
| 支援期間 | 約6〜12か月 |
| 仕様ツール | Excel、VBA、AI |
| 担当業務 | 広告運用アシスタント |
| 担当範囲 | 入稿管理、データ分析、運用最適化、業務マニュアル作成、自動化ツール開発 |
| 対応媒体 | Google、Meta、TikTok、Twitter |
お客様は事業拡大の真っただ中にある、スピード感のあるベンチャー企業でした。
広告運用に関する業務量が増えていく一方で、社内の教育体制や業務マニュアルの整備が追いついておらず、現場でのオンボーディングは個々の担当者に委ねられていました。
特に課題となっていたのが、広告の入稿設計や数値分析に関するノウハウの属人化です。
入稿時に確認すべき項目や設定ルールが体系的にまとめられていなかったため、新たに業務へ加わった担当者は、作業のたびに経験者へ確認する必要がありました。数値分析についても、データの集計方法や着目するポイントが担当者の知識や経験に左右されやすく、作業品質や対応スピードに差が生まれやすい環境でした。
業務そのものは日々進んでいたものの、成長を支える共通のオペレーション基盤が十分に整っていない状態です。
まずは担当したコクー社員自身が業務を習得しながら、個人の経験に頼らず、誰でも正確かつ迅速に対応できる仕組みをつくることが求められていました。
支援担当者が最初に取り組んだのは、広告運用に関する業務の全体像を把握することでした。
入稿管理、データ集計、数値分析といった各業務について、実際にどのような手順で進められているのか、どの部分で判断が必要になるのかを一つずつ確認。作業を覚えるだけではなく、担当者の頭の中にある判断基準まで整理し、ほかの人にも伝えられる形に置き換えていきました。
特に複雑だった入稿設計では、媒体や案件ごとに異なるルールを洗い出し、確認事項や注意点を言語化しました。
単なる操作手順だけでなく、どのような場合にどの設定を選ぶのかまで整理することで、担当者が初動から迷いにくいマニュアルを目指しました。
業務を標準化する際に重視したのは、資料を作成すること自体を目的にしないことです。
実際に業務を担当する人が、必要な情報へすぐにたどり着き、作業中に判断に迷ったときに確認できる状態を意識しました。
同時に、手作業で行われていたデータ転記や集計については、VBAを活用した自動化ツールを開発しました。
これまでは、複数の配信データをExcelに転記し、必要な項目を集計したうえで傾向を確認していました。繰り返し発生する作業を自動化することで、転記や集計にかかる時間を減らすだけでなく、手作業による入力ミスや集計漏れを防ぎやすい仕組みに変更しました。
依頼されたオペレーションを正確に遂行するだけでなく、「この作業を今後も同じ方法で続ける必要があるのか」という視点を持ち、改善できる部分を見つけた段階で仕組み化を進めたことが、今回の支援の特徴です。
さらに、集計後のデータ分析にはAIを活用しました。データをまとめて終わるのではなく、成果につながった要因や数値の変化を見つけやすくすることで、分析や考察までのスピード向上を図っています。
日々の支援で特に印象的だったのは、自身が業務を習得する過程と、業務を標準化する取り組みを並行して進めたことです。
教育フローやマニュアルが十分に整っていない環境では、まず目の前の業務を覚え、正確に対応できるようになることが優先されがちです。
しかし、それだけでは次に業務を担当する人も、同じように経験者へ確認しながら覚えなければなりません。
そこで支援担当者は、教わった内容や実際に作業する中で気づいた注意点を、その都度整理しました。
複雑な入稿ルールについても、自分だけが理解できればよいとは考えず、ほかの担当者が同じ手順を再現できる形へ落とし込んでいきました。
業務を進めながらマニュアルをつくり、手作業が集中している工程を見つけた後はVBAによる自動化へつなげる。
目の前の対応と将来の運用改善を切り離さずに進めたことで、個人の習得が組織全体で活用できる仕組みへ変わっていきました。
今回の支援により、広告運用に関する一連のオペレーションが整理され、担当者の経験だけに依存しない業務基盤が整いました。
複雑だった入稿設計のルールを言語化し、体系的なマニュアルとしてまとめたことで、新たに業務へ加わる担当者も、手順や判断基準を確認しながら作業を進めやすくなりました。担当者ごとに品質や対応スピードが変わりやすかった状態から、誰が担当しても一定の品質を保ちやすい運用へと変化しています。
また、配信データの転記や集計にはVBAによる自動集計ツールを導入しました。
繰り返し発生していた手作業を自動化したことで、集計に要する時間を短縮し、入力ミスなどのリスクも抑えやすくなっています。
さらに、AIがデータ分析や考察を補助することで、集計した数値から傾向や成果要因を確認するまでのスピードも向上しました。
こうした業務標準化、自動化、AI活用を組み合わせた結果、月間の作業工数を約60%削減。
削減した時間を、数値の確認や運用改善の検討など、より判断が求められる業務へ充てやすい環境がつくられました。
今回の支援を通して見えてきたのは、広告運用の改善には、作業を効率化するツールだけでなく、業務の進め方そのものを整理する視点が欠かせないということです。
入稿業務を自動化しても、設定ルールや判断基準が担当者の中だけに残っていれば、属人化は解消されません。
一方で、マニュアルを整備するだけでも、日々繰り返される転記や集計に多くの時間がかかっていては、担当者の負担は残ります。
業務手順を整理し、繰り返し作業を自動化し、その先の分析をAIで支援する。
複数の改善を組み合わせることで、正確性とスピードを両立したオペレーションに近づけることができました。
また、自分が業務を理解する過程で得た知識を、個人の経験として抱えず、次の担当者が活用できる形に残すことも、現場を支えるうえで重要な役割だと捉えています。
今後は、AIを活用したデータ分析の高速化と精度向上に取り組んでいきます。
広告運用では、膨大なレポートデータの中から、成果につながった要因や改善すべき変化を見つける必要があります。
しかし、すべての数値を人の目だけで確認する方法では、分析に時間がかかるだけでなく、細かな変化を見落としてしまう可能性もあります。
AIを活用して特定の傾向や変化を効率的に抽出し、人が確認すべきポイントを絞り込むことで、分析の質とスピードをさらに高めていく考えです。
オペレーションを効率化するだけで終わらず、得られたデータを次の運用改善へつなげられる仕組みづくりを進めていきます。
コクーでは、業務整理やマニュアル整備に加え、Power Platform(パワープラットフォーム)、kintone(キントーン)、CELF(セルフ)、BIツール、AI活用など幅広い技術を活用した業務改善・DX支援を行っています。
ツールを導入するだけではなく、現場へのヒアリングから要件整理、運用定着まで一貫して伴走し、お客様にとって無理なく続けられる改善をご提案します。「属人化を解消したい」「業務を整理したい」「自動化を進めたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
今回の広告運用支援のように、目の前の実務を支えながら、業務手順の整理や自動化、データ活用まで進めることも可能です。
社内で課題が十分に言語化できていない段階でも、日々の業務をひも解きながら、改善の入り口を整理します。
広告の入稿やレポート作成が特定の担当者に集中している、集計作業に時間がかかる、改善したくても何から手をつけるべきか分からない。
コクーは、現在の業務を一つずつ確認し、マニュアル整備、自動化、AI活用など、現場に合った改善方法を一緒に整理します。
課題が明確になっていない段階でもご相談いただけます。