デジタルマーケティングの世界はここ数年で大きく変化し、広告の「配信・計測・分析」をどう設計するかが成果を左右する時代になりました。
複数の広告媒体をまたいでキャンペーンを実施する企業も増える中で、「どの広告がどれだけ効果を出しているのか」「媒体ごとの成果をどう統一的に評価すべきか」といった課題を感じているマーケターの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年最新版の仕様変更や新機能を踏まえ、CM360 の基本構造から主要機能、分析・活用のコツまでを、現場目線でわかりやすく解説します。最新の計測方式変更(begin-to-render 方式への移行)やリーチ指標の強化など、今まさに押さえておきたいポイントも盛り込みました。
これから広告運用の高度化やデータ活用を進めたい方にとって、CM360 が「単なる広告ツール」ではなく、「マーケティング基盤」としてどのように機能するのか。その全体像を、この記事で一緒に整理していきましょう。
執筆:檜田詩菜(過去のインタビューはこちら)
コクーのマーケティング担当。鹿児島県出身。数年前まで美容コスメ・雑誌・不動産・IT業界の顧客マーケティングを担当。サスペンスLOVE。
まずは、Google キャンペーンマネージャー360(Campaign Manager 360/以下 CM360) がどんなツールなのかを、改めて整理しておきましょう。
Google キャンペーンマネージャー 360(以下、CM360) は、一言でいえば 「広告の成果を正しく測るための司令塔」 です。
多くの企業が広告を出す際、検索・SNS・YouTube・ディスプレイなど、複数の媒体を並行して活用しています。
しかし、それぞれの媒体で管理画面や指標がバラバラだと、「結局どの広告が一番効果的だったのか?」「広告費をどこに集中させるべきか?」といった判断が難しくなります。
そこで登場するのが CM360。
Google Marketing Platform(GMP)の中核ツールとして、各媒体に配信される広告の配信結果・クリック数・コンバージョン(成果)を一元的に計測・分析できます。
CM360を導入することで、企業は広告データをバラバラの点ではなくつながった線として扱えるようになります。
主な価値は次の3つです。
CM360は単独で使うだけでなく、Googleの他ツールと組み合わせることでさらに効果を発揮します。
Cookieの制限やプライバシー保護の強化により「広告の成果を正確に測る」ことが難しくなってきています。
また、媒体ごとのレポートをまとめる手間が減り、「数字の整理に追われるより、改善に時間を使える」環境を作れるのも大きな魅力です。
CM360の導入を考えるときに、チェックしておきたいポイントは次の3つです。
CM360は、広告運用担当者だけでなく、「マーケティングの仕組みをもう少し理解したい」という人にもおすすめのツールです。
2025年の最新アップデートでは計測の精度や分析指標がさらに強化されており、広告の費用対効果を見える化する仕組みとして、今後も重要な役割を担っていくでしょう。
多くの広告技術が変わる中で、CM360 も例外ではありません。
2025年段階で押さえておくべき最新の仕様変更・注意点を以下にまとめます。
これらの変更は、すべての広告主や代理店に即時影響するわけではありませんが、運用・比較・レポート自動化において「意図しないズレ」が出るリスクがあります。
2025年段階では特に インプレッション計測方式の変更 が最も大きな波になると予想されます。
2025年9月から、CM360(Campaign Manager 360)における ディスプレイ広告のインプレッション計測方式 が変更されます。これは「広告が画面に見える形で開始表示できた時点(Begin-to-Render)」を基準に計上する方式です。
2025年には、リーチ効率を定量的に捉えるための指標強化も行われています。
特に Cost per Reach(コスト ÷ 到達ユーザー数) の追加などが挙げられます。
2025年9月から、Floodlight アクティビティ(変換タグ)が Web と App(アプリ) の変換ストリームを分けて扱う仕様 に移行予定です
2025年9月以降、EU(欧州連合)向けに広告を出す企業は、すべてのキャンペーンで政治広告かどうかを自己申告しなければなりません。自己申告が “Yes(政治広告)” とされたキャンペーンは、EU 内での配信がブロックされる可能性もあります。
2025年9月以降、SDF(構造化データファイル)を使った入稿時の仕様にも更新があります。
自動推定ドメイン(Conversion Domain)の扱いに関する設定が必須となる見込みです。
CM360 API のバージョンアップおよび非推奨化の動きも進んでいます。
広告業界全体の流れとして、サードパーティ Cookie によるトラッキング制限やプライバシー保護の強化が進んでいます。CM360 も例外ではありません。
ここからは、「広告を配信し」「効果を測定し」「改善に活かす」までの流れを、主要機能に沿って解説します。
Trafficking は、CM360 の広告配信設定を行う中心機能です。以下の要素を設計・管理します。
運用現場では、Trafficking 設定の取り回しや、設定ミス(対象除外、クリエイティブ不一致、ターゲティングバラツキなど)がトラブルの温床になりがち。
最適化ルールとチェック体制を整えることが肝要です。
広告効果を正しく測るための鍵が、この Floodlight 設計です。
最近は Web と App の変換ストリーム分離、新 API フィールド変更など、計測タグの扱いに注意すべき仕様変更もあります。
特に、Web/App の変換を分けたい場合は設計段階で考慮を。
CM360 の強みは、広告配信データを直接分析・レポートできる点です。
使いこなしたい主要機能とポイントは以下です。
CM360 単体だけで完結する稼働は少なく、他ツールとの統合が鍵になります。
特に、大規模案件や複数チャネルを横断するケースでは、CM360 を「広告データのハブ」として機能させ、運用・分析体制の基盤に据える設計が重要です。
CM360 を現場で使うなら、以下のような “失敗しやすいポイント” をあらかじめ注意しておくと安全です。
特に 2025年9月のインプレッション計測方式変更や指標定義変更などをまたぐ期間は、前後比較が混乱しやすい。基準変換対応・補正方法を用意しておく。
API バージョン変更やフィールドの廃止により、自動取得スクリプトが動かなくなる可能性あり。
定期メンテナンス体制を。
配置漏れ、ターゲティング重複、タグ設置ミスなど小さな設定のズレが大きな効果ロスを生む。
Trafficking 設定のチェックリストを持つこと。
従来のインプレッション数/クリック数重視から、リーチあたりのコスト効率に評価軸がシフトしつつある。
特に新しい “Cost per Reach” 指標などを活用。
仕様変更が比較的大きいため、主要キャンペーンには段階的に新方式を試験実装し、影響を見極める。
仕様・指標が変わるたびに運用担当者・アナリスト・クリエイティブチームの間で認識ズレが起きやすい。
更新時には必ずナレッジ共有を。
2025年の Google キャンペーンマネージャー360(CM360)は、
単なる「広告配信ツール」から一歩進んで、より精密な“広告データ基盤” へと進化しています。
これらの仕様変更は、いずれも「広告の透明性」と「データの信頼性」を高めるためのもの。しかし同時に、これまでのレポート数値やKPIが変化して見える可能性もあります。
したがって今のうちに、
といった“下準備”を進めておくのが安心です。
CM360は、複雑な広告環境を整理し、データに基づいた判断を支えるツール。変化が多い時期こそ、その真価を発揮します。今後も最新情報をキャッチアップしながら、正確でムダのない広告運用を目指していきましょう。
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