マーケティング領域において、経験者の採用はますます難しくなっています。
そんな中、「マーケティング未経験者」の採用が、新たな人材戦略として注目を集めています。
結論から言えば、マーケティング未経験者の採用は大いにアリな選択肢です。
彼らは新しい視点や高いポテンシャルを持ち、組織に新風を吹き込む可能性を秘めています。
しかし、その成功の鍵を握るのは「見極め」と「育成」です。
やみくもに採用するのではなく、マーケターとして活躍できる素養を持つ人材を見抜き、適切な育成プロセスを経ることで、未経験者でも企業に大きな価値をもたらすことができます。
本記事では、なぜ今、マーケティング未経験者の採用が有効なのか、そして彼らの中から活躍する人材を見つけるための具体的な質問と評価基準、さらには育成のポイントまで詳しく解説していきます。
執筆:檜田詩菜(過去のインタビューはこちら)
コクーのマーケティング担当。鹿児島県出身。数年前まで美容コスメ・雑誌・不動産・IT業界の顧客マーケティングを担当。好きな豆腐は木綿。
マーケティング未経験者という言葉を聞いて、「本当に活躍できるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、現代の採用市場の状況を鑑みると、未経験者の採用はむしろ積極的に検討すべき戦略となっています。
デジタル化の加速により、企業活動におけるマーケティングの重要性は飛躍的に増大しました。
しかし、市場の需要に専門人材の供給が追いついていないのが現状です。
即戦力となる経験豊富なマーケターは常に引く手あまたであり、多くの企業が人材確保に苦慮しています。
前述のミスマッチは、経験者採用の難易度とコストを押し上げています。
優秀なマーケティング経験者は高額な報酬を提示され、競争が激化しています。結果として、採用までにかかる期間が長期化したり、採用コストが予算を大幅に上回ったりすることも珍しくありません。
また、経験者だからといって、必ずしも自社の文化にフィットし、期待通りの活躍をしてくれるとは限りません。
前職のやり方に固執したり、新しい環境への適応に時間がかかったりするケースも散見されます。
マーケティング未経験者を採用することは、企業にとって様々なメリットをもたらす一方で、考慮すべきデメリットも存在します。これらを事前に把握し、対策を講じることが、採用成功の第一歩となります。
未経験者は、既存のマーケティングの枠組みや業界の常識に囚われない、自由な発想やユニークな視点をもたらすことがあります。
経験者が見過ごしがちな「当たり前」を疑い、顧客視点での新しいアイデアや改善策を提案してくれる可能性を秘めています。これは、停滞しがちな組織に新たな風を吹き込み、イノベーションを促進する起爆剤となり得ます。
「マーケティング未経験」として入社する人材は、多くの場合、新しい分野への挑戦意欲や成長への貪欲さを強く持っています。与えられた知識を積極的に吸収し、自ら学習する姿勢が見られます。
特に、自身のキャリアパスを自律的に考え、努力を惜しまないタイプであれば、短期間で目覚ましい成長を遂げ、マーケターとして早期に活躍する可能性も十分にあります。
経験者は前職の企業文化や業務スタイルが染みついている場合がありますが、未経験者は比較的、自社の企業文化や働き方にスムーズに順応しやすい傾向があります。
まっさらな状態で入社するため、自社の理念やビジョンを素直に受け入れ、組織の一員として早期に一体感を築きやすいでしょう。これは、チームビルディングの観点からも大きなメリットと言えます。
未経験者の採用は、初期段階で一定の育成コストと時間が必要となります。
マーケティングの基礎知識や業界の専門用語、実務フローなどを一から教える体制を整えなければなりません。OJT担当者の負担増や、学習教材の準備など、目に見えないコストも発生します。
短期間での即戦力化は難しいため、中長期的な視点での人材投資として捉える必要があります。
当然ながら、マーケティング未経験者は、入社直後から高度な専門知識やスキルを駆使して即座に成果を出すことは困難です。
施策の企画立案から実行、効果測定、改善までを一貫して担当できるようになるまでには、一定の実務経験と学習期間を要します。したがって、短期的な成果を強く求める部署やプロジェクトへの配属は、ミスマッチを引き起こす可能性が高いでしょう。
この点を理解し、適切な期待値調整が不可欠です。
では、「マーケ未経験」から「マーケティングで活躍する人材」へと成長するポテンシャルを秘めた人物は、どのような特徴を持っているのでしょうか。採用面接時に見極めるべき4つのポイントを解説します。
マーケティングは感覚ではなく、データに基づいた論理的な思考が求められる分野です。
課題を発見し、その原因を分析し、解決策を仮説として立て、実行し、その結果を検証する。このPDCAサイクルを回す能力が不可欠です。
面接では、前職の経験や学生時代の経験から、「なぜそう考えたのか」「どう行動し、どう改善したのか」といった思考プロセスを具体的に深掘りすることで、論理的思考力と仮説検証の素地があるかを見極めましょう。
Webマーケティングの世界は常に変化しています。
新しいツールや手法、トレンドが日々生まれるため、常に最新情報をキャッチアップし、自ら学び続ける意欲がなければ、すぐに時代遅れになってしまいます。
自主的にWebマーケティングに関する書籍を読んだり、スクールに通ったりしている場合は、その熱意は本物と見て良いでしょう。
マーケティング施策は、一度実行してすぐに成果が出るとは限りません。
むしろ、失敗を繰り返しながら、改善を重ねてようやく成功に至ることがほとんどです。
そのため、困難な状況に直面しても諦めずに試行錯誤し、目標達成に向けて粘り強く取り組む姿勢、つまり「グリット(やり抜く力)」が不可欠です。
マーケティング活動は、決してマーケター一人で完結するものではありません。
自分の意見を分かりやすく伝え、相手の意見も傾聴し、円滑な人間関係を築けるコミュニケーション能力は、マーケターとして活躍するための重要な素養です。
ここからは、実際に面接の場で「マーケ 未経験」から「活躍」できる人材を見抜くための具体的な質問と、それに対する評価基準を詳しくご紹介します。
この質問では、単なる憧れや漠然とした興味ではなく、
を深掘りします。
■ 自身の経験とマーケティングへの繋がりが明確であるか。
■ 当社の事業やサービスへの理解度と、それに対する具体的な貢献意欲が感じられるか。
■ 単なる流行に乗ったものではなく、本質的な動機があるか。
この質問は、候補者がどれだけ当事者意識を持って事業を捉え、自ら課題を発見し、改善策を考えられるかを見極めるためのものです。
■ 事前に企業研究を行っているか。
■ 表面的な感想だけでなく、具体的な課題提起とその根拠があるか。
■ 改善策が論理的で、ユーザー視点に立っているか。データに基づいた思考ができる素地があるか。
この質問を通じて、
を確認します。
■ 漠然とした回答ではなく、具体的な企業名やキャンペーン名を挙げられるか。
■ 単なる感想で終わらず、なぜ面白いと感じたのか、どのような意図が隠されているのかを考察できているか。
■ その施策を自社に応用しようとする姿勢が見られるか。
未経験者であっても、これまでの業務経験の中に、マーケティングに活かせる「ポータブルスキル」(汎用的なスキル)が必ずあるはずです。そのスキルを自ら見出し、応用できるかを問います。
■ 表面的な職種名で終わらず、具体的な業務内容の中から汎用性の高いスキル
(分析力、課題解決力、コミュニケーション力、企画力、推進力など)を言語化できているか。
■ そのスキルが当社のマーケティング業務とどう結びつくか具体的に説明できるか。
マーケティングは目標達成が常に求められる職種です。
困難な状況でも、どのように考え、どのように行動し、結果を出してきたかというプロセスから、その人の課題解決能力や実行力、粘り強さを見極めます。
■ 困難な状況設定が具体的であるか。
■ 課題の特定から仮説設定、実行、検証、改善という一連のプロセスを論理的に説明できるか。
■ 問題発生時の対応力や、周囲を巻き込む力が見られるか。
■ 結果だけでなく、そこに至るまでの思考と行動に再現性があるか。
「マーケ未経験」の人材が真に「活躍」するためには、採用後の丁寧な育成とオンボーディングが不可欠です。
適切なサポート体制を構築することで、早期戦力化と定着を図りましょう。
入社直後の未経験者は、何から手をつければ良いか戸惑うことが多いものです。
まずは、彼らに与える役割(ミッション)と、達成すべき具体的な目標(KGI/KPI)を明確に設定しましょう。
これにより、本人が目指すべき方向性を理解し、日々の業務に目的意識を持って取り組めるようになります。
座学だけでなく、実際の業務を通じたOJT(On-the-Job Training)は、未経験者の成長に欠かせません。実務を任せる際には、必ず経験豊富な先輩社員がメンターとなり、具体的な指示や定期的なフィードバックを行う体制を整えましょう。
定期的な1on1ミーティングを設定し、日々の業務で疑問に思ったことや課題を共有できる心理的安全性の高い環境を提供することで、未経験者は安心して質問し、学ぶことができます。
変化の激しいマーケティング業界において、継続的な学習は必須です。
企業として、未経験者の学習意欲を後押しする機会を提供しましょう。
また部署内で定期的な勉強会を開催したり成功事例や最新トレンドを共有する場を設けたりすることも有効です。
「マーケティング未経験」人材の採用は、人材不足が深刻化する現代において、企業が成長を続けるための有効な戦略です。彼らは新しい視点と高いポテンシャルを持ち、組織に革新をもたらす可能性を秘めています。
しかし、その成功は、単に採用するだけでなく、ポテンシャルを持った人材を「見極める」プロセス、そして入社後に彼らを「育成する」体制の両輪が揃って初めて実現します。
本記事でご紹介した「活躍人材を見抜く5つの質問と評価基準」を活用し、自社で活躍できる素養を持つ人材を発掘してください。そして、採用後は明確な目標設定、実践的なOJTとメンター制度、そして継続的な学習機会の提供を通じて、未経験者が早期にマーケターとして「活躍」できる環境を整えましょう。
適切な「見極め」と手厚い「育成」によって、未経験者は貴社のマーケティング組織の強力な戦力へと成長し、長期的な事業成長に貢献してくれるはずです。
そうはいっても、デジタルマーケティング人材の活用は急務でありつつも、今すぐの育成や環境整備はなかなか難しい、というケースも多いはずです。
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