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《注目》なぜ人が来ない?マーケティング人材不足の根本原因と採用成功の秘訣とは?

作成者: admin_dg|Aug 9, 2019 10:15:00 AM

「募集をかけても応募が来ない」
「採用できてもすぐに辞めてしまう」
「そもそも何ができる人を採ればいいのかわからない」──

多くの企業が今、マーケティング人材の採用において深刻な悩みを抱えています。DX推進やデジタル集客が当たり前になった一方で、それを担う人材は慢性的に不足しており、事業成長の大きな足かせになりつつあります。

本記事では、なぜマーケティング人材はこれほどまでに不足しているのか、その根本原因・企業が直面するリスク・そして具体的な解決策までを体系的に解説します。

執筆:檜田詩菜(過去のインタビューはこちら

コクーのマーケティング担当。鹿児島県出身。数年前まで美容コスメ・雑誌・不動産・IT業界の顧客マーケティングを担当。好きな豆腐は木綿。

深刻化するマーケティング人材不足の現状

デジタルシフトが加速する今、マーケティング人材の不足は一部の大企業だけの問題ではなく、あらゆる業種・企業規模に共通する経営課題となっています。
まずは、現在どの程度まで人材不足が深刻化しているのか、実態から見ていきましょう。

企業の約8割が実感する「マーケティング人材不足」

デジタル化の急速な進展や顧客行動の多様化により、企業のマーケティング戦略はこれまで以上に複雑化しています。しかし、その戦略を立案し実行できる人材が圧倒的に不足しているのが現状です。

ある調査では、企業の約8割が「マーケティング人材の不足」を経営課題として挙げているほどです。

なぜ今、マーケティング人材の重要性が高まっているのか?

現代のビジネスにおいて、マーケティングは単なる「広報活動」や「販促」の枠を超え、企業の成長戦略そのものと深く結びついています。

インターネットの普及とSNSの台頭により、顧客は購買に至るまでの情報収集プロセスを自分自身でコントロールするようになりました。企業は、データに基づいた顧客理解を深め、パーソナライズされた体験を提供し、多角的なチャネルでコミュニケーションを図る必要があります。

また、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の波に乗り遅れないためにも、

  • データ分析
  • Web広告運用
  • コンテンツ企画
  • MA(マーケティングオートメーション)ツール活用

など、デジタルマーケティングの専門知識を持つ人材は不可欠です。

 

なぜマーケティング人材は不足するのか?5つの根本原因

マーケティング人材不足は「応募が少ない」「採用コストが高い」といった表面的な問題だけでは説明できません。その背景には、構造的かつ複合的な要因が存在します。

ここでは、人材不足が起こる5つの根本原因を整理します。

原因1:デジタル化で求められるスキルが高度化・多様化している

一昔前のように「マーケティング担当者」として一括りにできるスキルセットではなく、これら多岐にわたる専門知識と実務経験を併せ持つ人材は極めて希少です。

原因2:育成に時間と専門ノウハウが必要

マーケティングスキルは、座学だけで身につくものではなく、実践と検証を繰り返すOJT(On-the-Job Training)を通じて磨かれます。

しかし、社内にマーケティングの専門家や指導できるベテラン人材が不足している企業では、体系的な育成プログラムを構築することが困難です。また、市場の変化が速いため、育成ノウハウも常にアップデートしていく必要があり、これには多大な時間とリソースが求められます。

原因3:優秀な人材は市場に出てきにくい

高い専門性と実績を持つ優秀なマーケティング人材は、どの企業にとっても喉から手が出るほど欲しい存在です

そのため、既存の企業で高い評価を受け、好待遇で働いているケースが多く、転職市場に頻繁に出てくることは稀です。また、フリーランスとして独立し、複数のプロジェクトを手がけることで、自身のスキルや市場価値をさらに高めている人材も増えています。

原因4:企業側が求める人材像を明確にできていない

マーケティング人材が不足していると認識しながらも、「具体的にどのようなスキルを持つ人材が、どのような課題を解決できるのか」という求める人材像を明確にできていない企業が多く見られます。

漠然と「Web広告ができる人」「SNS運用ができる人」といったニーズでは、採用のミスマッチを引き起こす原因となります。

原因5:業務内容や労働条件が魅力的に映らない

マーケティング職は「残業が多い」「成果へのプレッシャーが大きい」といったイメージを持たれがちです。

また、事業戦略への関与度が低く、ルーティンワークが多いと認識される場合や、給与水準やキャリアパスが不明瞭な企業では、魅力的な職場として映りにくくなります。

特に経験豊富な人材ほど、

  • 業務の裁量権
  • 自己成長の機会
  • 事業への貢献度
  • 適切な報酬

を重視するため、これらが提供できない企業は採用競争で不利になる傾向があります。

マーケティング人材不足が企業にもたらす3つのリスク

人材不足は単に「人がいない」だけの問題ではありません。
放置すると、売上・競争力・組織基盤にまで深刻な悪影響を及ぼします。

ここでは、マーケティング人材不足によって企業が直面する代表的な3つのリスクを解説します。

リスク1:顧客獲得コストの高騰とビジネスチャンスの損失

適切なマーケティング戦略が実行できないと、広告予算を効率的に活用できず、CPA(顧客獲得単価)が高騰する事態を招きます。

また、競合他社がデジタルマーケティングを駆使して新たな顧客を獲得していく中で、自社は潜在顧客へのアプローチが遅れ、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高まります。

リスク2:DX化の遅れによる市場競争力の低下

マーケティング人材の不足は、企業のDX化の推進を直接的に阻害します。

DX化の遅れは、

  • 業務効率の低下
  • 顧客満足度の低下
  • 市場における競争力の著しい低下

を招き、企業の存続すら危うくする可能性があります。

リスク3:施策の属人化とデータ活用の停滞

特定の担当者にマーケティング業務が集中し、その人にしかノウハウがない「属人化」のリスクが高まります。

担当者の異動や退職が発生した場合、それまで蓄積されてきた知識や経験が失われ、マーケティング活動が停滞してしまう恐れがあります。

また、各種ツールから得られる豊富なデータがあっても、それを分析・活用できる人材がいなければ、宝の持ち腐れです。データに基づいたPDCAサイクルが回せず、非効率な施策を漫然と続けることになりかねません。

【課題別】マーケティング人材不足を解消する3つのアプローチ

マーケティング人材不足には、企業の状況やフェーズに応じた“最適解”があります。
重要なのは、一つの方法に固執せず、複数の選択肢を組み合わせて戦略的に対処することです。

ここでは、実践的な3つの解消アプローチを紹介します。

アプローチ1:即戦力を獲得する「採用」成功の秘訣

「今すぐ成果を出せる人材が必要」という企業にとって、即戦力採用は最もダイレクトな解決策です。
しかし、闇雲に採用活動を行っても成果は出ません。

ここでは、マーケティング人材の採用を成功させるための実践ポイントを解説します。

採用ペルソナと必須スキルを明確化する

闇雲に募集をかけるのではなく、まず「どのような事業課題を解決するために、どんなスキルや経験を持つ人材が必要なのか」を具体的に言語化します。採用したい人物像(ペルソナ)を詳細に設定し、必須スキルと歓迎スキルを明確にすることで、募集要項の精度が高まり、ミスマッチを防ぎます。例として、Web広告運用なら「広告媒体の選定、予算配分、効果測定、改善提案ができる」といった具体的な行動レベルまで落とし込みましょう。

自社の魅力を伝える採用ブランディング

給与や福利厚生だけでなく、企業のビジョン、事業の面白さ、マーケティング組織の戦略的位置づけ、仕事の裁量権、キャリアパス、社風といった「自社で働く魅力」を積極的に発信します。採用サイトの充実、社員インタビュー、SNSでの情報発信などを通じて、候補者が入社後のイメージを描けるように働きかけましょう。特にマーケターは「成果を出すための自由度」や「新しい技術への挑戦機会」を重視する傾向があるため、そうした点をアピールすることが重要です。

専門エージェントやダイレクトリクルーティングを活用する

一般的な求人媒体では出会えないような、転職潜在層やハイクラス人材にアプローチするためには、マーケティング領域に特化した人材紹介エージェントや、LinkedInなどのダイレクトリクルーティングサービスを活用することが有効です。エージェントは企業の求める人物像を深く理解し、最適な候補者を紹介してくれます。ダイレクトリクルーティングでは、企業自身が候補者に直接メッセージを送ることで、自社の魅力を熱意を持って伝えられます。

アプローチ2:持続的な成長を実現する「社内育成」のポイント

採用が難しい今だからこそ、既存社員の育成に目を向ける企業が増えています。
時間はかかるものの、組織にフィットした人材を育てられるのが「社内育成」の最大の強みです。

効果的に育成を進めるためのポイントを整理します。

体系的な育成プログラムとOJTを組み合わせ

基礎的なマーケティング知識(フレームワーク、用語など)を学ぶ座学と、実務を通じてスキルを磨くOJTを組み合わせた育成プログラムを構築します。OJTでは、指導担当者を明確にし、目標設定、進捗管理、フィードバックを定期的に行うことが重要です。まずは簡単なタスクから任せ、成功体験を積ませながら、徐々に難易度の高い業務へとステップアップさせることで、実践的なスキルを効率的に習得させられます。

最新トレンドを学ぶための継続的な学習機会を提供する

マーケティング業界は変化が激しいため、常に最新のトレンドや技術を学び続けることが必須です。外部セミナーへの参加費補助、関連書籍の購入支援、eラーニングサービスの導入、資格取得奨励制度などを設け、社員の自己研鑽を積極的にサポートしましょう。社内での情報共有会や勉強会を定期的に開催し、部門全体の知見を高める文化を醸成することも効果的です。

挑戦できる環境と適切な評価制度を整える

社員が新しい施策やツール導入に意欲的に挑戦できるような、心理的に安全な環境を提供することが重要です。失敗を恐れず挑戦できる風土を醸成し、そのプロセスや努力も評価対象とすることで、社員のモチベーションを高めます。また、マーケティング活動の成果だけでなく、習得したスキルや学習意欲も評価対象に含め、明確なキャリアパスと連動させることで、長期的な成長を促し、エンゲージメント向上にも繋がります。

アプローチ3:専門知識を補う「外部人材・サービス」の活用

「採用も育成もすぐには難しい」──そんな企業にとって即効性が高いのが外部リソースの活用です。
必要なスキルだけをピンポイントで補える外部人材や支援会社の上手な使い方を解説します。

フリーランス・副業など即戦力プロ人材を活用する

自社に不足している特定の専門スキル(例:SEOの高度な分析、動画広告制作、SNSキャンペーン戦略など)を、フリーランスや副業のプロフェッショナルに依頼することで、必要な時に必要なだけ専門知識を補えます。採用コストやリスクを抑えつつ、即戦力となる人材の知見を短期間で活用できる点が大きなメリットです。クラウドソーシングサイトやプロ人材紹介サービスを通じて、適切な人材を見つけられます。

マーケティング支援会社(外注)に業務委託する

自社でマーケティング戦略全体を立てるノウハウがない、あるいはリソースが足りない場合は、マーケティング支援会社に業務を委託することも有効な選択肢です。戦略立案から実行、効果測定、改善提案まで一貫してサポートしてくれるため、企業の負担を大幅に軽減できます。Web広告運用代行、コンテンツ制作、MA導入支援など、特定の領域に特化した専門性の高いサービスも利用でき、内製化を目指す際の相談役としても機能します。

MAやCRMなどマーケティングツールを導入し業務を効率化する

マーケティングオートメーション(MA)ツールやカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)ツールを導入することで、定型的な業務を自動化し、データの一元管理や顧客分析を効率的に行えるようになります。これにより、限られた人材でもより多くの業務をこなせるようになり、戦略立案やクリエイティブな活動に集中できる時間を創出します。ツール導入にはコストがかかりますが、長期的に見れば人件費の削減や生産性向上に寄与します。

外部活用の成功事例

外部人材や支援会社の活用は、正しく行えば“即効性”と“内製化”の両立が可能です。
ここでは、実際に外部活用によって成果を上げた2つの企業事例をご紹介します。

事例1:副業マーケター活用でWeb広告の成果を最大化したBtoB企業

従業員数30名程度のBtoB SaaS企業

自社プロダクトのリード獲得をWeb広告に大きく依存していたが、インハウスの広告運用担当者がおらず、代理店任せでCPAが高騰している課題を抱えていました。

▼そこで下記人材を採用

過去の運用データ分析から戦略を再構築し、広告クリエイティブやターゲティングの改善提案を実施。

社内では得られなかった高度な運用ノウハウを取り入れ、代理店との連携もスムーズになったことで、マーケティング投資の費用対効果が飛躍的に向上しました。

事例2:コンサルティング導入で内製化とスキル向上を実現した中小企業

地方で地域密着型ビジネスを展開する老舗企業

Webサイトはあるものの、情報発信が滞り、集客に課題を感じていました。
しかし、社内にデジタルマーケティングの知見を持つ人材は皆無。

▼そこで下記契約

コンサルタントはまず現状分析と競合調査を行い、ターゲット顧客層に合わせたコンテンツ戦略とSEO戦略を立案。同時に、社内の若手社員2名を担当者としてアサインし、週次ミーティングでのOJTを通じて、Webサイトの改善、ブログ記事の企画・執筆、アクセス解析の方法などを指導しました。

担当社員は基本的なデジタルマーケティング業務を自力で回せるまでに成長。
コンサルティング終了後も、自社でPDCAサイクルを回せる内製化を実現し、持続的な成長基盤を確立しました。

まとめ:自社に合った人材戦略でマーケティングを成功に導こう

マーケティング人材不足は、現代の企業が直面する避けては通れない課題です。
デジタル化の波は止まることなく、企業の成長エンジンとしてのマーケティングの重要性は増すばかりでしょう。

この課題を克服するためには、「採用」「育成」「外部活用」という3つのアプローチを、自社の現状や事業フェーズに合わせて複合的に組み合わせることが重要です。

漠然とした「人材が欲しい」ではなく、まずは自社の事業課題を明確にし、その解決に必要なマーケティングスキルや経験を具体的に定義することから始めましょう。そして、即戦力としての「採用」に力を入れる一方で、将来を見据えた「社内育成」にも投資し、同時に不足する専門スキルを「外部プロ人材やサービス」で補う柔軟な戦略が求められます。

最適な人材戦略を構築し実行することで、マーケティングは企業の持続的な成長を支える強力な武器となります。
人材不足の壁を乗り越えデータに基づいた戦略的なマーケティングを推進し、ビジネスを成功へと導きましょう。

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