デジタル広告を筆頭に、マーケティング戦略のあり方はめまぐるしく変わりつつあります。
そんなデジタルマーケティングの波に乗り、ツールを導入したものの「専任の担当者がいない」「進化する機能についていけない」といった「デジタル・ディスコネクト」が企業では起きています。
このように、従来の業務をデジタルマーケティング業務に転換を試みるほど、デジタルマーケティングに強い人材育成が課題となるのです。
さて、今回はそんなデジタルマーケティングをおこなう場合、どのような人材が必要となのかをご紹介します。
マーケティングがデジタル中心になることで、さまざまな変化や問題が生じており、人材・工数の不足もそのひとつとしてあげられます。
人材・工数不足は社員の育成を徹底すれば解決されるのでしょうか?
デジタルの世界は日々進化し、それに合わせて消費者のニーズも変化し続けています。以前ではマスマーケティングが主流でしたが、さまざまなツールの登場により、現在の消費者はより自身に合った情報のみを受け取れるOne to Oneマーケティングを好むようになりました。
デジタルマーケティングをおこなうためには、これまでのマーケティング手法に加え、新しく生まれ続けるさまざまな情報をキャッチアップしていく必要があります。しかしながら、現状では人材の需要に反して、育成が追い付いていない状態といえるでしょう。
では、人材・工数が不足している原因を、デジタルとマスマーケティングの違い、またデジタルマーケティングの変化を通して説明しましょう。
デジタルマーケティングとマスマーケティングの違いは下記です。
不特定多数の人間に向けた戦略のこと
より個人に向けた、セグメント・マーケティングやOne to Oneマーケティング戦略のこと
さて、デジタル中心への戦略移行にともない、マーケティングの方法や背景はどう変化しているのでしょうか?
マスマーケティングでは高額な広告費用が必要でした。
それゆえ失敗ができず、企業側も時間をかけて慎重に討議を交わす必要があります。結局は経験豊富な人間が決定を下すというパターンになりがちでした。
しかし、デジタルマーケティングでは予算的・時間的制約が大きく緩和されます。マーケティング上の仮説を素早く安価にテストすることができるようになったのです。
過度に慎重になる必要もなくなり、またクリエイティブな案が生まれやすくなったともいえるでしょう。
さまざまなツールにより、より詳細な顧客データを自動で蓄積・分析できるようになりました。
そうしたツールにより、
などが自動化され、より個人に密着したマーケティングが可能になったのです。
しかし、こうしたデジタルの利点を生かすためには、基本的なマーケティング知識・経験に加え、デジタルメディアやツールに関するリテラシーが要求されます。
単純なデジタルリテラシーの欠如も人材不足の要因と言えますが、より根深く大きな要因はデジタルとマーケティング両方の知識を持った人間が少ないことだと考えられます。
昨今、デジタルメディアの利用が急激に発達したのはご存じのとおりですが、急激すぎたがゆえに、従来のマーケティングに通じた人間はデジタルについて行けず、また一方では、デジタルネイティブ世代は若すぎ、マーケティングに通じていないという状況が生まれました。
両者とも必要な知識の習得には時間がかかってしまいます。これが人材・工数不足の原因のひとつでしょう。
もうひとつの人材不足の原因として、環境の変化によってデジタルマーケティングの形態自体が刻々と変化していることがあげられます。
近年はPC以外のデジタルメディアの普及が顕著です。なかでも代表的な例はスマートフォンでしょう。電車やバス、信号を待つ間や、歩いている時でさえスマートフォンに目をやる姿を多く目にします。
家にいる間、PCよりもスマートフォンで検索する人も多いのではないでしょうか。
【出典】総務省
総務省の令和3(2021)年に公表「主な通信情報機器保有状況(世帯)」によると、平成23年に29.3%だったスマートフォンの保有率は、平成24年に急激な上昇をみせつつ、令和2年には86.8%を記録しました。
また、タブレット型端末の保有率も、わずか8.5%だった平成23年の保有率から比較して、平成30年にピークを迎え一時下落したものの、再び令和2年には上昇に転じています。
一方で、パソコンの保有率は年々下落傾向にあり、スマートフォンを保有しているユーザーが多いことは顕著です。
こうした結果からもデジタルメディアの普及が拡大しているなかで、当然それに合わせたマーケティングの知見が必要となります。
電通報によれば、スマートフォンの使い方はユーザーによって固定されていることが多く、最近特に伸びているサービスはキュレーションサイトとニュースアプリです。
現在のデジタルマーケティング市場に対応するためには、こうしたスマートフォンの利用状況に対する知識、また、もちろんそれをマーケティングに活かす知見が必要とされます。
スマートフォン以外にもIoT・AIなども著しく進歩しています。このような変化に対応し、さらに将来の変化にも対応するという業務が求められているのです。
では、デジタルマーケティングで必要とされるスキルとは具体的に何でしょうか。
前述した内容をまとめると、デジタルマーケティングにおける課題は以下のとおりです。
そして、これらを加味すると、デジタルマーケティングにおいて必要なスキルは大きく以下2つに分けることができます。
まず、デジタルスキル【分析・考察能力】についてです。
ここでいうデジタルスキル【分析・考察能力】とは、データを分析・ソリューション化し、そしてマーケティングプロセスを回す能力と考えてください。
デジタルマーケティングではマーケティングツールが用いられ、そのツールによって集積されるデータは膨大です。
ツールを扱えることは大前提ですが、集積されたデータが持つ意味を理解し、可視化出来る能力が必要です。そういった能力が欠如していると、せっかくツールで情報を集め一元管理しても、施策に十分に反映することは困難になります。
これだけでもかなりの知見が必要となりますが、さらにそうしたデータからマーケティングソリューションを作り出し、マーケティングプロセスを回さなければなりません。
こうしたスキルの習得はデジタル世代であっても容易ではなく、より上の世代にとってはさらに困難なものといえるでしょう。こういった人材不足には、人材紹介などのサービスを利用する選択肢もあります。
デジタルマーケティングを扱う以前に、事業や営業の課題を把握することも必要です。
デジタル中心になったとはいえ、マーケティングである以上、普遍的な事柄も当然あります。事業・営業の課題把握を含めた企画立案能力は従来のマーケティングと同じように必要とされます。
これにデータ分析能力(62.4%)、マーケティング全般の経験/知識(54.7%)と続きます。
デジタルマーケティング専門の経験/知識は意外に低く、6位(36.1%)でした。
デジタルマーケティングといえど、やはり基本的な企画・立案能力は重要視されています。
このように、デジタルマーケティングを行う際に、どのようなデジタルソリューションが必要か考えられる能力や、課題把握能力も必要とされるのです。
ここまで、デジタルマーケティングにおいて人材不足の原因と必要とされる人材の2つを紹介してきました。
デジタルマーケティングでなくても、人材育成は難しい課題でしょう。
人材育成のための研修プログラムの立ち上げ・指導者不足・指導経験不足など、人材育成にあたり課題は山ほどでてきます。
こうした状況において、日々変化するデジタルマーケティングのリテラシー習得が随時求められるため、社内の育成のみで人材をそろえることは困難なこともあるでしょう。
そう考えると、デジタルマーケティングに関してはプロに任せるという選択肢も重要になってきます。
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