広告プランニング・運用代行サービス

更新日:2025.10.15
目次
近年、「Cookie廃止」や「プライバシー保護の強化」により、従来型のリターゲティング広告(追跡広告)は変化の波にさらされています。
「もう使えないのでは?」と感じている方も多いかもしれません。
しかし2025年現在、リターゲティング広告は形を変えて進化し、むしろ費用対効果(ROAS)を高める重要な手法として再注目されています。
本記事では、リターゲティング広告の基本から、最新の仕組み・効果的な運用方法、そして2025年のトレンドまでをまとめて解説します。
執筆:檜田詩菜(過去のインタビューはこちら)
コクーのマーケティング担当。鹿児島県出身。数年前まで美容コスメ・雑誌・不動産・IT業界の顧客マーケティングを担当。サスペンスLOVE。
リターゲティング広告とは、一度サイトに訪れたユーザーに再び広告を配信する仕組みのこと。
Webサイトの訪問履歴(Cookieやピクセルなど)をもとに、過去の行動データを利用して「検討中ユーザー」に再アプローチします。
ユーザーの「検討・離脱・再訪問」という購買行動を踏まえた再接触を実現できる点が他広告と異なる特徴です。
「リターゲティング広告はもう使えない」と言われることもありますが、実際は使い方が変わっただけです。
2025年のいま、リターゲティングは『進化した広告手法』として再注目されています。
ここでは、その3つの大きな変化をわかりやすく解説します。
これまでのリターゲティングは、Cookie(クッキー)という小さなデータを使って、『この人は前にサイトを見た』という情報をもとに広告を配信していました。
しかし、最近ではプライバシー保護の流れが強まり、Google ChromeなどのブラウザがCookieの利用を制限しています。その結果、昔のように個人を追いかける広告は難しくなっているのです。
では、代わりにどうしているのか?
それが『ファーストパーティデータ』と呼ばれる、自社で集めたデータの活用です。
サイトの会員登録データ
メールアドレスや購買履歴
LINE公式アカウントの友だち情報
などを組み合わせて、『興味を持っている人』を見極める仕組みへと進化しています。
これにより、Cookieが使えなくても、ユーザーに合わせた広告を出せるようになっています。
以前は、広告担当者が『どの人に、どんな広告を、どのタイミングで出すか』を手動で設定していました。
しかし今は、AIがそれを自動で行ってくれる時代です。
✔ Google広告の『Performance Max(P-MAX)』
✔ Meta(Facebook・Instagram)の『Advantage+』
といった仕組みでは、AIがユーザーの行動や興味を学習し、最も効果の出る広告配信を自動で最適化してくれます。
つまり、担当者は『ターゲット設定』に時間をかけるより、良いクリエイティブ(=広告の内容)を作ることに集中すべき時代になっています。
リターゲティング広告は、もはやWebサイトだけの話ではありません。
2025年現在は、次のような多様なチャネル(場所)で広告を再表示できるようになっています。
SNS広告(Instagram/X/TikTokなど)
動画広告(YouTube・ABEMAなど)
Connected TV(コネクテッドTV):テレビで見るインターネット広告
メール・LINE配信との連携
たとえば、スマホで商品を見た人に、夜はテレビアプリで動画広告を流す――といったように、ユーザーの生活に合わせて自然に広告を届けられる時代です。
昔のリターゲティングは『追いかけられている感じ』があり、ユーザーから嫌われることも少なくありませんでした。しかし今は、AIやデータの進化によって、『ユーザーが必要なときに、必要な情報を届ける』方向へシフトしています。
例)
カートに入れたままの商品を『お得情報つき』で再提案
過去に資料を見たユーザーに『最新アップデート』をお知らせ
といったように、『思い出してもらうきっかけ』をつくる広告へと進化しています。
リターゲティング広告は、使い方次第でとても強力な手法になります。
ただし、正しく理解して設計しないと『逆効果』になることも。
ここでは、メリットとデメリットをバランスよく整理してみましょう。
リターゲティングは、一度サイトに訪れた『興味を持っている人』に再び広告を届けます。
そのため、まったく知らない人に出す広告よりも、購入や問い合わせにつながる確率が高くなります。
新規ユーザーへの広告は、興味があるかどうかも分からないため、クリック単価(CPC)が高くつくことがあります。リターゲティングなら、すでに関心のある層に絞って配信できるため、費用対効果(ROAS)が良くなりやすいのが特徴です。
人は、1回見ただけの商品やサービスをすぐに決めることはあまりありません。
そこで再び広告が表示されることで、『あ、そういえばこのサービス気になってた』と、思い出してもらえるきっかけになります。
既存ユーザーに対してもリターゲティングを活用すれば、再購入やアップセル・クロスセルの促進が可能です。
一度の購入で終わらせず、『長く使ってもらう』ためのフォロー広告としても有効です。
同じ広告が何度も表示されると、ユーザーは『またこれか』と不快に感じることがあります。
これを防ぐためには、広告の配信回数を制御する設定(フリークエンシーキャップ)が大切です。
サードパーティCookieの廃止により、一部のユーザーを正確に識別できなくなっています。
その結果、配信範囲が狭まったり、過去ほどの精度が出にくくなるケースもあります。
かつてはタグを入れるだけで簡単に始められましたが、今はAI・データ連携・除外リストなどの設定が複雑化しています。
リターゲティングは『最後のひと押し』になることが多いため、実際の効果を正しく測定しないと『この広告だけで売れた』と錯覚しやすいです。
リターゲティング広告は、『興味を持っている人に、もう一度チャンスを与える広告』です。
うまく使えば、少ない予算でも大きな成果を出せます。
ただし、やりすぎると逆にブランドイメージを損なう恐れもあるため、
「どれくらい、誰に、どんな内容で」配信するかが成功のカギになります。
リターゲティング広告は、設定次第で効果が大きく変わります。
ここでは、ムダを減らし、成果を最大化するための4つのポイントを紹介します。
Cookieが使えなくなりつつある今、重要なのは『自社で持っているデータ』をどう活用するかです。
これを「ファーストパーティデータ」と呼びます。
サイトの会員情報や購買履歴
メルマガやLINE登録者リスト
過去のキャンペーン参加履歴
こうした自社データを広告プラットフォームと連携させれば、『Cookieなしでも、質の高いターゲティング』が可能になります。
リターゲティングで失敗しやすいのは、「全員に出してしまう」ことです。
たとえば、すでに購入済みの人に広告を出し続けると、『もう買ったのに、また出てきた…』と不快感を与えてしまいます。そのために大切なのが『除外設定』です。
購入完了ページを見た人は除外
資料請求済みの人は除外
直近7日以内に広告をクリックした人は除外
このように、出さない対象をきちんと設定することで、広告費のムダを減らし、好印象を保つことができます。
同じ広告を何度も見せすぎると、ユーザーは疲れてしまいます。
1日に何回、1週間で何回見せるか――この設定を『フリークエンシーキャップ』と呼びます。
一般的な目安は以下の通りです。
また、同じ人に同じクリエイティブを出し続けるのではなく、訴求内容を変えたバリエーションを複数用意すると効果的です。
今のリターゲティング広告では、AIが自動で内容を変える『動的広告(DPA)』が主流です。たとえば、ユーザーが見た商品や価格、閲覧したカテゴリをもとに、自動で画像やテキストを差し替える仕組みです。
これにより、1人ひとりに最適な広告を配信でき、クリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)の向上が期待できます。
2025年の広告では、1つの媒体だけで完結するケースは少なくなりました。ユーザーはスマホ、SNS、動画、メール、テレビアプリなどを行き来しています。
そのため、複数チャネルを連携させた『再接触設計』が重要です。
Google広告 × YouTube広告で再アプローチ
Instagram × LINE公式で検討層にリマインド
メール × ディスプレイ広告で購入促進
このように、ユーザーがよく使う場所を組み合わせて、『どこで見ても、ブランドを思い出せる』仕組みを作りましょう。
リターゲティング広告は、『回して終わり』ではなく『改善して育てる』広告です。
配信後は、次の3つの指標を必ずチェックして、運用を調整しましょう。
リターゲティング広告は、設定を変えるだけで効果が大きく変わります。
2025年に成果を出すポイントは、次の4つです。
ファーストパーティデータを活かす
出さない相手を決める(除外設計)
配信頻度をコントロールする
AIとマルチチャネルで最適化する
この4つを意識すれば、限られた広告予算でも『無駄なく・嫌われず・効果的に届ける』運用ができます。
リターゲティング広告は、上手に使えば少ない予算でも大きな成果を出せる手法です。
ここでは、実際の運用イメージがつかみやすいように、業界別の成功パターンを3つ紹介します。
ここでは、カート放棄ユーザーへの具体的な施策と成果を見てみましょう。
多くのECサイトで、ユーザーが商品をカートに入れたまま購入せず離脱してしまうことがあります。
カートに商品を入れたままのユーザーに対して、『在庫が少なくなっています』『今だけ送料無料』などの広告を再配信。
動的リターゲティング(DPA)を使って、閲覧した商品画像をそのまま表示。
クリック率(CTR)が1.8倍にアップ
コンバージョン率(CVR)が1.4倍に改善
ECサイトでは、ユーザーが商品をカートに入れてから購入に至らず離脱してしまうケースが多く見られます。
そんな『あと一歩で購入』という層にもう一度アプローチできるのが、リターゲティング広告の強みです。
リターゲティング広告をうまく使えば、『興味を持っているけれど迷っている層』を自然にフォローすることができます。
BtoBサービスでは、資料請求してから商談につながるまでに時間がかかることが多く、
その間にユーザーの関心が薄れてしまうことが課題でした。
『資料請求済み』のユーザーに向けて、事例紹介・サービス活用ガイドなどの広告をリターゲティングで配信。
広告内容を「検討中のあなたへ」「導入企業の声」などに変えて、再興味を喚起。
商談化率が30%アップ
CPA(1件あたりの獲得単価)が40%改善
BtoBの商材では、資料請求後すぐに商談や契約に進むことは少なく、検討期間が長くなりがちです。
サブスク型サービスでは、途中まで登録したものの完了しないユーザーが一定数発生。
この“登録離脱”をどう減らすかが課題でした。
登録フォームを途中で離脱したユーザーに対して、『わずか30秒で登録完了!』『今なら初月無料』といった再訴求広告を配信。
スマホアプリでは、同一ユーザーにプッシュ通知+広告を組み合わせて出稿。
登録完了率が28%改善
離脱後3日以内の広告接触で復帰率が倍増
リターゲティング広告は、これまでのように『追いかける広告』ではなく、『ユーザーに寄り添い、思い出してもらう広告』へと進化しています。Cookie規制やAIの普及といった変化を受けて、広告のあり方そのものが大きく変わろうとしています。
ここでは、これからの時代にリターゲティングを成功させるために大切な3つの考え方を紹介します。
これからのマーケティングでは、Cookieのように『外部のデータ』に頼ることができなくなります。
だからこそ、自社で集めたファーストパーティデータが価値を持ちます。
たとえば…
会員登録やメールアドレス、購入履歴などの情報をしっかり蓄積する
CRMやMAツールを活用して、ユーザーの行動履歴を分析する
こうした『自分たちのデータ資産』を活かせる企業ほど、リターゲティングの精度も成果も高くなります。
データを集め、整理し、活用できる仕組みづくりがこれからの鍵です。
プライバシー保護の意識が高まる今、ユーザーに「どうデータを使うのか」を正しく伝えることが求められています。つまり、『ユーザーの同意(Consent)を得たうえで広告を配信する』という姿勢が重要です。
たとえば…
Cookie同意バナーを設置し、利用目的をわかりやすく提示
広告の配信理由やデータの使い方を、サイト内で明示
これにより、ユーザーからの信頼を得ながら広告を出すことができます。
見えないところで追いかける広告から、透明で安心できる広告へ。
それが、2025年以降のスタンダードです。
AIは広告担当者の代わりではなく、“パートナー”です。
Googleの『P-MAX』やMetaの『Advantage+』のように、AIが自動で学習・最適化を行う今こそ、人がすべきは『戦略設計とメッセージ作り』です。
AIが得意なのは、膨大なデータの処理と、ユーザー行動のパターン分析。
人間が得意なのは、ユーザーの気持ちを読み取り、心に響く訴求を考えること。
この2つを組み合わせることで、リターゲティング広告の効果は一段と高まります。
リターゲティング広告は、決して過去の手法ではありません。
むしろ今、「もう一度つながる」ための最も人間的な広告へと進化しています。
『どんな人に、どんなタイミングで、どんな言葉を届けるか』
──その答えを見つけることが、これからのマーケターに求められる力です。
リターゲティング広告は、これまでのように“追いかける”手法ではなく、ユーザーに寄り添い、思い出してもらう広告へと変化しています。
2025年の広告運用で成果を出すには、データ・AI・クリエイティブを掛け合わせた人にやさしいマーケティング設計が欠かせません。
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