コストゼロから始める 社内クリエイティブ制作

更新日:2025.12.18

目次
BtoBマーケティングにおいて、動画の重要性は増す一方ですが、
といった課題を抱える担当者は少なくありません。
本記事では、BtoB企業のマーケティング担当者に向けて、リード獲得という最終成果に繋げるための動画活用法を解説します。具体的な動画の種類や活用シーンから、成果を可視化するためのKPI設計、効果測定の方法、そして継続的な改善サイクルを回すための実践的なノウハウまでを網羅的に紹介します。

執筆:檜田詩菜(過去のインタビューはこちら)
コクーのマーケティング担当。鹿児島県出身。数年前まで美容コスメ・雑誌・不動産・IT業界の顧客マーケティングを担当。好きな豆腐は木綿。
BtoBマーケティングにおいて、動画の活用は単なるトレンドではなく、ビジネス成果に直結する戦略的な手段としてその重要性を増しています。
特にリード獲得という観点から見ると、動画は潜在顧客との接点を創出し、関係性を深め、最終的な商談へと繋げるための強力なツールとなり得ます。
現代のビジネス環境の変化と、動画が持つ情報伝達の特性が相まって、企業は動画を通じて顧客との新たなコミュニケーションを築き、競争優位性を確立することが求められているのです。
動画がこれほどまでに注目される背景には、顧客の情報収集行動の変化があります。
インターネットの普及、スマートフォンの常時接続、そしてリモートワークの常態化により、ビジネスパーソンは時間や場所にとらわれずに効率的に情報を得ようとしています。このような状況下で、テキストや静止画だけでは伝えきれない複雑な内容を、短時間で分かりやすく伝えることができる動画の価値は計り知れません。
本セクションでは、なぜ今BtoBマーケティングにおいて動画活用が不可欠なのかを、多角的な視点から具体的に解説していきます。
動画がもたらす情報伝達の優位性、顧客体験の向上、そして最終的なビジネス成果への貢献度を理解することで、社内での動画活用に対する説得力のある説明が可能となるでしょう。
今日のBtoB領域における顧客の情報収集方法は、テキスト中心のウェブサイトや資料を読むことから、YouTubeやSNSを活用した動画コンテンツの視聴へと大きくシフトしています。
スマートフォンがビジネスの現場に深く浸透し、リモートワークが一般化したことで、ビジネスパーソンは移動時間や休憩時間などの「スキマ時間」を使い、短時間で効率的に情報を得たいと考えるようになりました。
このような背景から、活字離れやタイパ(タイムパフォーマンス)を重視する傾向が強まり、視覚と聴覚に訴えかけ、多くの情報を効率的に伝達できる動画コンテンツの需要が急速に高まっています。
この現代のビジネスパーソンの情報収集スタイルに、動画は極めて高い親和性を持っていると言えるでしょう。
BtoB商材、特に無形サービスであるSaaS(Software as a Service)のようなソフトウェアや、高度な専門技術を要する製品は、その複雑さゆえにテキストや静止画だけではなかなか全容を伝えることが困難です。
を説明する際には、文字情報だけでは理解に時間がかかったり、誤解を生んだりする可能性も否定できません。
ここで動画が持つ伝達力は絶大な効果を発揮します。
実際の操作画面を映しながら、具体的な機能やメリットをステップバイステップで視覚的に示すことができます。アニメーションやインフォグラフィックを活用すれば、複雑なシステム連携やデータの流れ、サービスの概念図などを直感的に理解させることが可能です。これにより、顧客は製品やサービスに対する理解を深め、自身の課題解決にどう貢献するのかを具体的にイメージしやすくなります。
BtoBマーケティングにおいて、動画は単なる情報伝達のツールにとどまらず、企業の専門性やブランドの人格を伝え、顧客との深い信頼関係を築くための強力な手段となり得ます。テキストベースのコンテンツが溢れる中で、動画は企業の「顔」を見せることで競合との差別化を図る重要な要素となります。
などは、企業の透明性を高め、親近感を醸成します。
顧客は、どのような人がどのような情熱を持ってサービスを提供しているのかを知ることで、単なる製品・サービスだけでなく、企業そのものに共感を覚え、安心感を抱くようになります。
特に高額な商材や長期的なパートナーシップが必要となるBtoB取引においては、信頼関係が受注の決め手となることも少なくありません。
BtoBマーケティングにおける動画活用は、単に再生回数を増やすことではなく、最終的なリード獲得、ひいては商談や受注に繋げることが目的です。
このセクションでは、顧客の購買フェーズ(認知・興味関心、比較検討、意思決定)ごとに最適な動画の種類と具体的な活用シーンを解説します。
それぞれの動画がどのような目的を持ち、どのような内容で構成され、最終的にどのような成果(KPI)を目指すべきかを明確にすることで、効果的な動画施策を立案できるようになります。限られた予算とリソースの中で、動画を戦略的に活用し、リード獲得を着実に進めるための具体的なヒントもご紹介いたします。
まだ自社やサービスについて知らない潜在顧客層にアプローチし、興味を持ってもらうことは、リード獲得の第一歩です。
このフェーズでは、直接的な売り込みを避け、ターゲット顧客が抱える課題の解決に役立つ情報や、業界の動向など、価値のあるコンテンツを提供することが重要です。
動画を通じて、顧客の課題意識を喚起し、「もっと知りたい」という興味関心を引き出すことを目指しましょう。この段階で顧客との接点を作り、次のステップへと繋がるきっかけを生み出す動画の種類と活用法をご紹介します。
サービス紹介動画は、自社のサービスや製品の全体像、そして提供する価値を1〜2分程度の短い時間で簡潔に伝えることに特化しています。
ターゲット顧客が抱える具体的な課題を提示し、その課題を自社サービスがどのように解決できるのかをストーリー仕立てで語りかけることで、視聴者は自分事として捉えやすくなります。特に、アニメーションやインフォグラフィックを効果的に活用することで、専門的な内容や抽象的な概念も視覚的に分かりやすく伝えられます。
このタイプの動画は、Webサイトのトップページやサービス紹介ページに埋め込んだり、SNS広告や動画広告の素材として配信したりすることで、多くの潜在顧客にリーチし、認知拡大と興味喚起に貢献します。
導入事例やお客様の声動画は、実際にサービスを導入されたお客様にインタビューを行い、その体験談を通じてサービスの価値を伝えるコンテンツです。
第三者の声は、企業が自社の製品を語るよりもはるかに高い信頼性を持ちます。
導入前のお客様がどのような課題を抱えていたのか、なぜ自社サービスを選んでくださったのか、そして導入後にどのような具体的な成果や変化があったのかをリアルな言葉で語ってもらうことで、視聴者は「自分たちも同じように課題を解決できるのではないか」と共感しやすくなります。
この動画は、営業担当者が商談時に補足資料として活用したり、Webサイトに掲載して検討中の見込み顧客に安心感を与えたり、メルマガで配信してナーチャリングに繋げたりと、幅広いシーンで有効です。
ウェビナー(Webセミナー)動画は、ターゲット顧客の課題解決に役立つ専門的なノウハウや業界トレンドなどを解説するコンテンツです。ライブ配信したウェビナーを録画・編集し、オンデマンドコンテンツとして公開することで、一度制作したコンテンツを資産として長期的に活用できるメリットがあります。
視聴申し込みの際にリード情報を獲得する仕組みを構築したり、見逃し配信としてメルマガなどで告知したりすることで、質の高いリードを継続的に獲得できます。また、ウェビナーを通じて自社の専門性や知見を示すことで、信頼関係を構築し、将来の顧客となる見込み客を育成する「ナーチャリング」の役割も果たします。
専門的な情報を動画で分かりやすく提供することで、顧客の理解を深め、検討フェーズへとスムーズに移行させる効果が期待できます。
すでに自社サービスに関心を持っている見込み顧客に対しては、具体的な検討を促し、問い合わせや資料請求といったアクションを引き出す動画が効果的です。
このフェーズでは、サービスの詳細な情報を提供し、導入に対する不安や疑問を解消することが目的となります。
製品や機能の具体的な使い方、導入プロセス、他社との違いなどを明確に伝えることで、顧客の購買意欲を後押しし、次のステップへと進んでもらえるように働きかけます。
製品デモ・機能紹介動画は、実際の製品の操作画面や使用方法を具体的に見せながら、その機能が顧客のどのような課題を解決するのかを解説する動画です。
特にSaaSのようなソフトウェア製品では、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)の分かりやすさが導入の決め手となることも多いため、視覚的に訴えかけるデモ動画は非常に有効です。
特定の課題解決に特化した機能の使い方をステップバイステップで示すことで、視聴者は導入後のイメージを明確に持つことができます。この動画は、営業担当者が商談前に顧客へ送付して事前理解を深めてもらったり、FAQページに設置して顧客の自己解決を促したりすることで、営業効率の向上やサポートコストの削減にも貢献します。
自社が提供しているホワイトペーパーや詳細な資料の内容を、1分程度の短い動画で要約して紹介することも効果的です。
テキストベースの資料だけではなかなかダウンロードに至らない見込み顧客に対し、
を動画で分かりやすく伝えることで、資料ダウンロードへのモチベーションを高めることができます。
ランディングページにこの概要紹介動画を埋め込むことで、資料請求フォームへの誘導がスムーズになり、結果としてコンバージョン率の向上に繋がる可能性があります。動画で興味を引きつけ、詳細資料へと誘導する、という動線設計が重要です。
会社紹介や採用動画は、直接的なリード獲得を目的とするものではありませんが、
を伝えることで、企業のブランドイメージを向上させ、間接的にリードの質や商談化率の向上に貢献します。
顧客が取引先を選ぶ際、企業の信頼性や安心感は重要な要素となります。
担当者や開発者が自らの言葉で製品への情熱やビジョンを語ることで、企業の「顔」が見え、親近感や信頼感が醸成されます。また、採用活動においても、企業の魅力や働く環境を動画で伝えることで、優秀な人材との出会いを創出し、結果として企業の成長を支える要因となります。
これらの動画は、Webサイトの企業情報ページや採用ページ、さらには展示会などで活用することで、企業のブランド力を高め、長期的な視点でのリード獲得に貢献します。
動画マーケティングを成功させるためには、単に多くの動画を制作するだけでなく、それがビジネスの成果にどう貢献しているかを定量的に把握することが不可欠です。
再生回数だけを見て「効果がある」と判断していては、上司や関連部署への説明責任を果たすことはできません。このセクションでは、動画施策を「何となく効果がありそう」という状態から脱却させ、データに基づいた改善活動へと繋げるためのKPI(重要業績評価指標)設計の考え方と具体的な設定方法を詳しく解説します。動画マーケティングの投資対効果を明確にし、継続的な予算獲得や社内での評価向上に繋げるための土台を築きましょう。
効果的なKPI設計は、動画コンテンツの質を高めるだけでなく、マーケティング活動全体の最適化にも寄与します。
このように、KPI設計は動画マーケティングのPDCAサイクルを回す上で中心的な役割を担います。
動画マーケティングのKPIを考える際には、
の3つの階層に分けて捉えるフレームワークが非常に有効です。
このフレームワークを用いることで、動画コンテンツ自体の魅力度、視聴者の興味・関心度、そして事業への最終的な貢献度という3つの側面から、施策の全体像を体系的に把握できます。
動画がどれだけ見られたか、最後まで見られたかといった基本的なデータを把握します。
関心度を測ります。そして最後に、最も重要な「ビジネス貢献指標」で、動画が最終的なリード獲得や商談、売上にどれだけ寄与したかを評価します。
これらの階層は独立しているわけではなく、密接に関連し合っています。
例えば、視聴指標の改善がエンゲージメント指標の向上に繋がり、最終的にビジネス貢献指標に良い影響を与えるといった流れが考えられます。
視聴指標は、動画コンテンツそのもののパフォーマンスを測るための基本的なKPIです。
これは、動画がどれだけ多くの人の目に触れ、どれくらい見られたかを示します。
主要な視聴指標としては
などが挙げられます。
動画が合計で何回再生されたか
重複を除いた実際の視聴者の数
動画のサムネイルなどがユーザーに表示された回数で、動画がどれだけ露出したか
これらの数値が大きいほど、より多くの人に動画が届けられたことになります。
特に重要なのが「平均視聴時間」と「視聴維持率」です。
平均視聴時間は、視聴者が動画を平均して何分視聴したかを示し、視聴維持率は動画のどの時点まで視聴者が残っていたかをパーセンテージで表します。この視聴維持率のグラフを見ることで、視聴者がどこで興味を失って離脱したのかを具体的に特定できます。
例えば、動画の冒頭で多くの視聴者が離脱している場合は、オープニングの工夫や導入部分のメッセージの見直しが必要です。中盤で離脱が多い場合は、コンテンツの構成や説明の分かりやすさに課題がある可能性があります。
これらの指標を分析することで、動画の内容や構成を改善し、より長く視聴してもらえるコンテンツへとブラッシュアップできます。
エンゲージメント指標は、視聴者が動画に対してどれだけ積極的に反応し、関心を示したかを測るためのKPIです。単に動画を見ているだけでなく、その内容に共感したり、次の行動に移ろうとしたりする意欲を示すバロメーターとなります。この指標を追うことで、動画が視聴者の心にどれだけ響いたかを把握できます。
主なエンゲージメント指標には、
などがあります。
高評価やコメント、共有が多い動画は、視聴者にとって価値が高く、共感を呼んだコンテンツであると判断できます。特に共有数は、動画がSNSなどで拡散され、新たな潜在顧客にリーチする機会を生み出すため重要です。
リード獲得を目的とする場合、動画内に設置したCTA(資料ダウンロードボタン、問い合わせフォームへのリンクなど)のクリック率は非常に重要な指標です。
この数値が高いほど、動画で提供された情報が視聴者の興味を引き、次の具体的なアクションに繋がったことを意味します。
もしクリック率が低い場合は、CTAの文言やデザイン、設置場所、あるいは動画の内容とCTAの関連性を見直す必要があります。これらのエンゲージメント指標を分析することで、視聴者の反応を理解し、より効果的なコンテンツ作りや導線設計に役立てることができます。
ビジネス貢献指標は、動画マーケティング施策が最終的に事業目標にどれだけ貢献したかを測る、最も重要なKPI群です。この指標を追うことで、動画施策が単なるブランディング活動に留まらず、具体的な売上や利益に直結しているかを定量的に証明できます。
主要なビジネス貢献指標としては、
などが挙げられます。
例えば、「コンバージョン(CV)数」は、
で達成された目標アクションの総数を指します。「コンバージョン率(CVR)」は、動画を視聴した人のうち、どれだけの割合がCVに至ったかを示し、動画の質と導線の適切さを測る指標となります。
また、「リード獲得単価(CPA)」は、1件のリードを獲得するために動画施策にいくらかかったかを示すため、費用対効果を判断する上で非常に重要です。
これらの指標は、動画の視聴データとMAツールやCRMデータを連携させることで正確に計測できます。
動画がどの程度のリードを生み出し、それが最終的に商談や受注に繋がったかを追跡することで、動画マーケティングの真の価値を社内外に示すことが可能になります。ビジネス貢献指標を明確に設定し、定期的に追跡・分析することが、動画マーケティングの成功への鍵となります。
動画マーケティングのKPI設定は、その動画がどのような目的で制作され、何を達成したいのかによって大きく変わります。闇雲に多くの指標を追うのではなく、最終目標(KGI)とそこに至るまでの中間目標(KPI)を明確に設定することで、施策の効果をより正確に測定し、改善へと繋げることができます。
ここでは、代表的な動画マーケティングの目的別に、どのようなKPIを設定すべきかの具体例をご紹介します。
読者の皆さんが自社の状況に合わせてKPIを設計し、動画施策の成果を最大化するための一助となれば幸いです。
ブランドやサービスの認知度向上を主目的とする動画の場合、より多くの人々に動画を視聴してもらうことが最優先となります。このフェーズでの主要KPI(KGI)は、リーチの広さと視聴者数を最大化することに置かれます。
主要なKPIとしては、
が挙げられます。
これらの数値が高いほど、多くの潜在顧客に動画が届き、ブランド名やサービス名が知られる機会が増えたことになります。例えば、YouTube広告やSNSでの動画広告を利用している場合、インプレッション数や再生回数は特に重視すべき指標です。
中間KPIとしては、「視聴維持率」や「共有数」「SNSでの言及数」なども重要です。
視聴維持率が高いということは、動画の内容が視聴者の興味を引きつけ、最後まで見てもらえるクオリティがあることを示します。また、動画がSNSで共有されたり、話題になったりすることは、さらなる認知拡大に繋がります。これらの指標を組み合わせることで、単に動画が多くの人に届いただけではなく、視聴者の心に響き、能動的な広がりを見せているかを評価できます。
動画から直接的なリード獲得を目指す場合、KPI設定はより具体的なアクションに焦点を当てます。
この目的での主要KPIは、動画を通じて実際に獲得できたリードの数と、その獲得効率です。
主要KPIとしては、「リード獲得数(CV数)」と「リード獲得単価(CPA)」が最も重要です。
リード獲得数は、
といったコンバージョンに至った具体的な件数を指します。
リード獲得単価(CPA)は、1件のリードを獲得するために投じた動画制作費や広告費などのコストを示すため、費用対効果を測る上で不可欠な指標です。
これら主要KPIに至るまでの中間KPIとしては、
が挙げられます。
動画の最後に設置したCTAがどれだけクリックされたかは、動画が視聴者の行動を促す力があったかを示します。また、CTAをクリックして遷移した先のランディングページで、フォームの入力・送信まで至った割合(フォーム通過率)を見ることで、ランディングページやフォーム自体にボトルネックがないかを確認できます。
既存のリード(見込み顧客)の検討度を高め、商談や受注へと導く顧客育成(ナーチャリング)を目的とする動画の場合、KPIは「誰が」「どの動画を」「どれだけ深く」視聴したかという、よりパーソナライズされた視点に重点を置きます。このフェーズでは、単なる視聴回数よりも、特定のセグメントの顧客行動の質が重要になります。
主要なKPIは
などが挙げられます。
MAツール(マーケティングオートメーション)と連携することで、「〇〇社の△△さんが、この機能紹介動画を〇分視聴した」という具体的なデータをリード情報に紐づけることが可能です。これにより、営業担当者は顧客の興味関心度や検討フェーズを正確に把握し、より効果的なアプローチが可能になります。
中間KPIとしては、「特定セグメントの視聴率」や「ウェビナー参加率(オンデマンド視聴を含む)」、そして「視聴後のアンケート回答率」などがあります。例えば、既に資料請求をしているリードに対して、より専門性の高い技術解説動画や導入事例動画を配信し、その視聴状況を追跡します。
特定の動画を視聴したリードには、さらに個別相談の案内を送るなど、視聴行動に基づいた次のアクションを設計できます。
これらの指標を活用することで、リード一人ひとりの状態に合わせた最適なコンテンツ提供が可能となり、商談化率や受注率の向上に貢献します。
動画マーケティングの成果を明確に示し、関係者に納得感のある説明をするためには、KPIを正確に測定し、そのデータを分析することが不可欠です。
ここでは、限られたリソースでも実践可能な無料ツールから、より詳細な分析を可能にする有料ツールまで、動画の効果測定に役立つ具体的な方法とおすすめのツールをご紹介します。
各ツールの特性を理解し、自社の動画マーケティングの目的や予算に合わせて最適なものを選びましょう。
動画の効果測定は「作って終わり」ではなく、次の改善アクションに繋げるための重要なプロセスです。単に再生回数や視聴者数といった表面的な数値だけでなく、視聴者の行動履歴や、そこから発生したリード、さらには商談・受注といったビジネス成果までを追跡できる体制を整えることが、動画マーケティングを成功させる鍵となります。
各ツールの活用を通じて、動画がどのようなターゲットに響き、どのような行動を促しているのかを可視化することで、動画コンテンツの企画・制作から配信、そして次の改善策へと繋がるPDCAサイクルを効果的に回せるようになります。まずは導入しやすい無料ツールから始め、データ分析の習慣を身につけていくことをおすすめします。
多くのBtoB企業が動画公開に利用するYouTubeには、無料で高機能な分析ツール「YouTubeアナリティクス」が備わっています。このツールを活用することで、動画コンテンツ自体のパフォーマンスや視聴者の行動に関する詳細なデータを把握し、次の改善アクションに繋げられます。
動画がどれだけ多くの視聴者に届いたかを示す
を確認できます。これにより、サムネイルやタイトルが視聴者の関心を引いているかを評価できます。
を分析できます。視聴者維持率グラフは、視聴者が動画のどの時点まで視聴し、どこで離脱したかを明確に示します。このグラフを詳細に分析することで、「動画の導入が長すぎる」「特定の機能説明でつまづいている」など、コンテンツ内の改善点や離脱ポイントを具体的に特定し、動画の構成や内容を改善するヒントを得られます。
さらに、「視聴者」タブでは、視聴者の年齢層、性別、地域といったデモグラフィックデータや、他のどの動画を視聴しているかといったインサイトも得られます。これらの情報は、ターゲットペルソナが本当に動画を視聴しているか、あるいは新たなターゲット層を発見する手助けになります。
動画マーケティングをリード獲得や商談創出に直接繋げるためには、単なる動画視聴データだけでなく、その後の顧客行動や営業フェーズとの連携が不可欠です。
MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)システムと動画プラットフォームを連携させることで、動画視聴が最終的なビジネス成果にどう貢献したかを具体的に追跡できるようになります。
HubSpot、Pardot、MarketoといったMAツールは、Webサイトの訪問履歴やメールの開封状況と合わせて、動画視聴履歴もリード情報に紐づけて管理できます。
これにより、「どの会社の誰が」「どのサービス紹介動画を」「何分間視聴したか」といった詳細なデータを把握し、そのリードの興味関心度や検討フェーズを正確に判断できます。
例えば、特定の製品デモ動画を最後まで視聴したリードには高いスコアを付与し、営業部門に優先的にアプローチさせる、といった連携が可能になります。
さらにSalesforceなどのCRMと連携すれば、MAツールで得られた動画視聴データを営業担当者が直接確認できるようになります。営業担当者は商談前に顧客の動画視聴履歴を把握することで、顧客の興味関心に合わせたパーソナライズされた提案が可能となり、商談の質を高め、成約率の向上に繋げられます。
動画視聴データをリードのスコアリングやセグメンテーションに活用することで、効果的なナーチャリング施策の実行や、マーケティングと営業間のスムーズな連携を実現し、動画マーケティングの投資対効果を最大化できます。
自社サイトに埋め込んだ動画の効果を測定する上で、Googleアナリティクス4(GA4)の活用は非常に有効です。GA4は、ユーザーのウェブサイト内での行動全体を横断的に把握できるため、動画視聴と他の行動との関連性を分析し、コンバージョンへの貢献度を可視化できます。
GA4の大きな特長として、「拡張計測機能」が挙げられます。
この機能を有効にすることで、特別な設定なしに
を自動的に計測できます。
これにより、ウェブサイトに訪問したユーザーが、動画コンテンツにどれだけ関心を示し、視聴を通じてサービスへの理解を深めているかを定量的に把握できます。
動画視聴イベントがGA4で計測されることで、「特定の動画を最後まで視聴したユーザーが、その後どの製品ページを閲覧し、最終的に資料請求や問い合わせフォームの送信に至ったか」といった、ユーザーのジャーニー全体を分析できます。
また、動画を視聴したユーザーとそうでないユーザーのコンバージョン率を比較することで、動画コンテンツがコンバージョンに与える影響を評価することも可能です。
動画マーケティングは、一度動画を制作して公開したら終わりではありません。
制作した動画が期待通りの成果を出しているか、またどのような改善の余地があるのかをデータに基づいて評価し、次の施策に活かすための継続的な改善サイクルを回すことが非常に重要です。
このプロセスを「PDCAサイクル」と呼びます。
PDCAサイクルとは、
の頭文字を取ったもので、この一連の流れを繰り返すことで、動画マーケティングの精度を段階的に高め、最終的なビジネス成果を最大化することができます。
特にBtoBマーケティングにおいては、限られたリソースの中でいかに効率よくリード獲得に繋げるかが課題となります。そのためには、「なんとなく効果がありそう」といった感覚に頼るのではなく、具体的な測定データに基づいた仮説検証が不可欠です。
このセクションでは、PDCAサイクルの各フェーズにおいて、具体的にどのような作業を行い、どのような点に注意すべきかについて詳しく解説していきます。
データに基づいた改善活動を通じて、動画マーケティングを「作るだけ」の施策から「成果を出す」ための戦略的なツールへと進化させていきましょう。
PDCAサイクルの最初のステップである「Plan(計画)」フェーズでは、前回の施策で得られた分析データ、つまり「Check(評価)」の結果を基に、改善のための具体的な計画を立てます。
まず、動画マーケティングにおける現状の課題を特定し、その課題を解決するための仮説を立てることが重要です。例えば、「動画の平均視聴維持率が低いのは、冒頭のメッセージが視聴者の興味を引けていないからではないか」という仮説や、「CTA(Call to Action)のクリック率が低いのは、ボタンのデザインや文言が分かりにくいからではないか」といった具体的な仮説を立てます。
これらの仮説に基づいて、次回の動画企画や既存動画の修正プランを検討します。
視聴維持率が低いのであれば、冒頭の30秒をよりインパクトのある内容に修正したり、構成を見直したりするでしょう。そして、これらの改善策を実行することで達成したい目標KPIを具体的に再設定します。
CTAのクリック率が低いのであれば、ボタンの色や配置、文言を変更するといった改善策が考えられます。
例えば、
といった数値目標を設定することで、次の「Do(実行)」フェーズでの施策の方向性が明確になり、後の「Check(評価)」フェーズでの効果測定も容易になります。
「Do(実行)」フェーズでは、「Plan(計画)」で立てた仮説に基づき、具体的な改善策を実行に移します。
この際、特に中小企業の方におすすめしたいのが「A/Bテスト」です。
A/Bテストとは、一つの要素だけを変更した2つのバージョン(AとB)を用意し、どちらがより良い成果を出すかを検証する方法です。一度に多くの要素を変更してしまうと、何が成果に影響したのかが分からなくなってしまうため、必ず一つの要素に絞ってテストを実施しましょう。
動画マーケティングにおいて手軽に実施できるA/Bテストの対象としては、以下のようなものが挙げられます。
サムネイル:
動画の内容を最も魅力的に伝える画像であるサムネイルは、クリック率に大きく影響します。異なるデザイン、色合い、キャッチコピーで数パターン作成し、どれが最もクリックされるかをテストします。
動画タイトル:
検索からの流入や視聴者の興味を惹きつける上で非常に重要です。キーワードの配置、質問形式、具体的なメリットの提示など、異なるタイトルをテストしてみましょう。
概要欄の文章:
動画の補足情報や次の行動を促す重要な部分です。特に、冒頭の数行でいかに興味を引き、続きを読ませるか、CTAへの導線を分かりやすくするかをテストします。
CTAの文言やデザイン:
動画内や動画の終了画面に表示するCall to Actionの文言(「資料請求はこちら」「詳細を見る」など)や、ボタンの色、配置、デザインをテストし、最もクリック率が高い組み合わせを見つけます。
これらのテストを繰り返すことで、動画の効果を最大化するためのパターンを見つけることができます。
「Check(評価)」フェーズでは、「Plan(計画)」で設定したKPIが達成できたかどうかを、YouTubeアナリティクスやMAツール、Googleアナリティクス(GA4)などのデータを用いて客観的に評価します。
単に数値の増減を見るだけでなく、「なぜその結果になったのか」という要因を深く分析することが重要です。
例えば、再生回数は伸びたものの、平均視聴維持率が低い場合、動画のタイトルやサムネイルで提示した内容と、実際の動画コンテンツにギャップがあった可能性があります。この場合、視聴者は動画の冒頭で期待したものと違うと感じ、すぐに離脱してしまったのかもしれません。あるいは、動画の途中に退屈な部分があったり、情報が詰め込まれすぎて理解しづらかったりした可能性も考えられます。
逆に、再生回数はそれほど伸びなかったものの、視聴維持率が高く、CTAのクリック率も良好な場合は、ターゲット層に深く刺さる内容であったと評価できます。
この場合、さらに多くの人に動画を届けるためのプロモーション方法(サムネイルやタイトル、広告配信など)に改善の余地があるかもしれません。
このように、各KPIの数値を多角的に分析し、具体的な仮説と結びつけることで、動画コンテンツ自体やプロモーション施策のボトルネックを特定し、次の「Action(改善)」へと繋げるための重要な示唆を得ることができます。
PDCAサイクルの最後のステップである「Action(改善)」フェーズでは、「Check(評価)」で得られた分析結果とそこから導き出されたインサイトを、具体的な次の行動に繋げます。このフェーズでは、大きく分けて二つのアクションが考えられます。
例えば、特定のサムネイルやタイトルが高いクリック率を獲得した場合、その成功パターンを他の動画にも適用することで、全体のパフォーマンス向上を図ることができます。
また、特定の構成の動画が高い視聴維持率を示した場合は、今後の動画制作の際のテンプレートとして活用すると良いでしょう。これにより、効率的に効果の高い動画コンテンツを生み出すことが可能になります。
「Check」フェーズで特定されたボトルネックに対して、
など、具体的な改善策を策定します。
そして、これらの改善策を次の「Plan(計画)」フェーズに反映させ、新たなPDCAサイクルをスタートさせます。
このPDCAサイクルを継続的に回し、小さな成功と改善を積み重ねていくことで、動画マーケティング全体の精度と効果は着実に向上していきます。
単なるタスクとしてではなく、組織全体でPDCAを回す文化を定着させることが、長期的な動画マーケティングの成功への鍵となります。
BtoB動画マーケティングは、リード獲得に大きな可能性を秘めていますが、何も考えずに動画を制作し続けるだけでは、期待する成果には繋がりません。
特に、リソースが限られている中小企業のマーケティング担当者の方々にとって、動画施策の失敗は予算や時間の無駄に直結しかねないため、事前に陥りがちな落とし穴と、それを回避するための具体的なポイントを理解しておくことが重要です。
このセクションでは、
といった、動画マーケティングでつまずきやすい典型的な失敗パターンとその対策を具体的に解説します。
どんなに質の高い魅力的な動画を制作しても、視聴後に次のアクションへと繋がる「導線」がなければ、リード獲得には結びつきません。
動画の再生回数が多くても、それが企業のビジネス目標に貢献していなければ意味がないのです。動画はあくまでマーケティングファネルの一部であり、その前後で視聴者をどのように次のステップへ誘導するかが、動画マーケティングの成否を分ける重要なポイントとなります。
動画の最後に
といった明確なCTA(Call to Action)を設置することはもちろん、YouTubeであれば終了画面やカード機能を活用して関連動画やウェブサイトへのリンクを促しましょう。
また、動画を埋め込む自社ウェブサイトのページ設計も非常に重要です。
などを適切に配置することで、視聴者の興味関心が高まったタイミングでスムーズに次のアクションへと誘導できます。
特に中小企業では、動画制作にかけられる予算や人材、時間は限られています。
そのような状況で、最初からテレビCMのようなプロフェッショナルな映像品質を追求しすぎると、制作に膨大な時間を要したり、予算をオーバーしたりしてしまい、結果的に動画マーケティング施策が頓挫してしまう「完璧主義の罠」に陥りがちです。品質にこだわりすぎて、動画の公開頻度が落ちてしまっては、顧客との接点を増やし、継続的にリードを獲得するという本来の目的が達成できません。
BtoBの動画においては、必ずしも高価な機材や外部の制作会社に頼る必要はありません。
スマートフォンでの撮影や社内スタッフの出演でも、企画内容や伝えたいメッセージがしっかりしていれば、十分に視聴者の心に響く動画は作れます。
企画内容やメッセージ性が伴っていれば、ある程度のクオリティであっても十分な効果を発揮します。
担当者の方々は、心理的なハードルを下げ、「まずはやってみる」という姿勢で、着実にコンテンツを増やしていくことに注力しましょう。
大切なのは、完璧な1本を目指すよりも、まずは70点くらいの動画でも定期的に発信し続けることです。
発信を続ける中でデータを確認し、視聴者の反応を見ながら改善していく「PDCAサイクル」を回すことが、長期的に見て最大の成果へと繋がります。
動画マーケティングでどれだけ多くのリードを獲得できたとしても、その後の営業部門でのフォローアップが適切に行われなければ、最終的な商談や受注には結びつきません。
マーケティング部門と営業部門の連携が不足していると、せっかく動画で醸成した顧客の興味関心や検討意欲を活かせず、大きな機会損失に繋がってしまいます。
この連携不足は、BtoBマーケティングにおける長年の課題であり、動画施策においても同様の注意が必要です。これを解決するためには、動画視聴データと顧客情報を連携させ、営業部門に共有する仕組みを構築することが非常に有効です。
を活用し、「どの企業の見込み客が」「どの動画を」「何分間視聴したか」といった情報をリード情報に紐づけて営業担当者に伝えることで、顧客の興味関心や検討フェーズに応じた質の高いアプローチが可能になります。
また、動画コンテンツの企画段階から営業担当者の意見を取り入れることも重要です。
日々の商談で顧客から頻繁に聞かれる質問や、製品導入時に顧客が疑問に感じやすいポイントなどをヒアリングし、それらを解決するコンテンツを動画で制作することで、営業活動を強力にサポートできる動画を作成できます。このように、部門間の密な連携を通じて、動画マーケティングが真にビジネス成果に貢献する体制を築いていきましょう。
BtoBマーケティングにおける動画活用は、単に動画を制作するだけでなく、最終的なビジネス成果に繋げることが非常に重要です。そのためには、まず目的を明確にし、顧客の検討フェーズに合わせた最適な動画コンテンツを企画することが成功への第一歩となります。
そして、動画施策がどれだけビジネスに貢献しているかを正確に把握するために、適切なKPI(主要業績評価指標)を設計し、継続的に効果測定を行うことが欠かせません。再生回数だけでなく、CTA(Call to Action)のクリック数、リード獲得数、そして最終的な商談化数や受注数といったビジネス貢献指標を追うことで、動画施策の真の価値を可視化できます。
また、動画マーケティングは一度の成功で完結するものではなく、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を繰り返し回すことで、継続的に精度を高めていくプロセスです。測定データから得られた知見を次の動画制作や既存動画の改善に活かすことで、限られたリソースの中でも着実に成果を積み上げ、上司や関連部署からの理解と協力を得ながら、動画マーケティングを成功へと導いていけるでしょう。
当社では、今抱えていらっしゃる課題をしっかりと把握し、解決のご提案・対応させていただくデジマ女子というDX人材の派遣サービスがございます。動画活用による売り上げ向上や集客なども可能です。
サポート期間やご支援内容、予算に応じて、最適なプランをご提案いたします。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
マーケティングに特化した人財|デジマ女子
広告プランニング・運用代行サービス